やわらかいまいにち

思い出すのも難しい、ありふれた日常

隔たりのない星野源さんの話を聞いて

先日、radikoで『星野源オールナイトニッポン』を聞いていたとき、星野源さんってすごいなと思いました。

リスナーさんからこんなメールが来たときのこと。(※内容はニュアンスです。)

源さんこんばんは。
うちの娘はこの春、特別養護学校を卒業して就職をしました。その初めてのお給料で源さんのCDを買ったのです。

これに対して源さんは「うれしいですね、初めてのお給料でCDを買うって素敵ですね」のようなことをコメントしていました。

そのあとに、このメールに対して別のリスナーさんから来ていたメールも紹介していました。

源さんこんばんは。
わたしは特別養護学校で教師をしています。先ほどのメール、特別養護学校で生徒を見ているわたしにも〜〜〜(略)

このメールならさすがに障がいを抱える人に言及するのかな、と思っていたのに全然触れない。「初めてのお給料で物を買うこと」とか、そういうことを話題として取り上げていたので、わたしは「この人すごいな」と思ったのです。

何がすごいかって、こんなメール来たら「大変なこともあるけど、こうやって僕の音楽を手にとってくれるってうれしいですね」ってコメントもかんたんにできると思うんですよ。24時間テレビとか障がいとか病気の人を応援するスタンスの番組もあるくらいだし。なのに、そうじゃなくて。みんなにそれぞれある日常のひとつとしてコメントしていた。

わたしはジャニーズ好きだからそこそこ24時間テレビも見るけど、あの病気の人や障がいを抱える人をやたら取り上げる姿勢があまり好きじゃないんですよね。もちろん声を上げるのは大切だけど、あそこまで美化しちゃうと病気や障がいを抱える人が「自分は特別。健常者には普通でもわたしは頑張ってるんだからわかってよ」と思っちゃうんじゃないかなって。いや、実際そういう態度で来る人を知っていたので余計に思うんですけど。そして、このわたしの文章こそ誰かを隔ててしまっているのかもしれないと恐れているんだけど。

でも源さんは、そういうんじゃなくて全部ひっくるめて変な隔たりなくコメントしていたからすごいなって思いました。

Family Songという最新シングルについても、

「これまでの家族の曲もとっても素敵で好きなんだけど、どこか親子って、子供がいない家族の人はどう思えばいいんだろうって。そういう人たちに届かない家族の歌って、もったいないというか。部外者お断り、って雰囲気をなくしたくて」
(SONGSより。ニュアンス引用です。)

と言っていたんです。多様化していく家族の形を肯定していくってかんたんそうで難しいのに、この人はこうやって包み込んじゃうんだ。

それを表現できるのも、しかもそれを柔らかい姿勢で捉えていく姿勢も「ふぁ! 星野源すごいな」ってここ最近特に思います。

星野源さんって、個人的にはすっごい変態なイメージが強かったのに、最近「この人すごいな」って思うことが多くて。音楽について語るときも「くはー、音楽作る人ってそんなところこだわるのね……!」と学びも多くて楽しいです。気付いたら毎週radikoのタイムフリー機能でオールナイトニッポン聞いています。(夕飯作りながら聞くことが多い。)

なのに急に「ちくビンゴやってよ!」とか言ったりするから、やっぱりこの人変態なんだと思う。褒めてます。キッチンからは以上です。